
シンク — カチンコとタイムコード
- 1ジャムシンク — カメラとレコーダーを、基準時計と同じタイムコードに合わせます。
- 2カチンコ — 拍子木が最初に閉じるフレームと、波形の最初のピークは同じ瞬間です。
カチンコは最も確実な基準で、特別な機材もいりません。シーン、カット、テイクを読み上げて拍子木を1回打ち、編集では映像で拍子木が閉じる最初のフレームと、音声で打った音の頭を探して合わせます。頭でカチンコを打ち損ねたら、最後に逆さにして打つ「尻カチンコ(エンドスレート)」にし、音のないテイクはMOSと記録します。
タイムコードは「時:分:秒:フレーム」の時刻情報です。レコーダーかタイムコードジェネレーターを基準時計にし、カメラとレコーダーを同じ値に合わせて、同じフレームレートで記録させます。すると編集ソフトが各ファイルのタイムコードを読み、多くのテイクを一度にシンクできます。機器の時計は時間とともに少しずつずれることがあるので、電池交換や長い休憩のあとはジャムシンクし直すのが安全です。タイムコードがあっても、予備の基準としてカチンコを打つ現場は多くあります。
- カメラのガイド音声 — カメラ内蔵マイクで録った音は品質が低いものの、編集ソフトがレコーダーの波形と比べてシンクに使えます。
- 寄りのカチンコ — 俳優の顔の近くでは拍子木をそっと閉じます。強すぎると俳優が驚き、レベルもクリップします。
- マルチカメラ — すべてのカメラが同じカチンコを見るか、カメラごとに打ち、基準を逃すカメラがないようにします。
録音形式とトラック
- サンプリング周波数とビット深度 — 映像制作では48kHz/24bitが広く使われています。作品全体で同じ設定にし、仕上げチームと事前に確認します。
- ファイル形式 — レコーダーはふつうBroadcast WAV(BWF)で記録し、シーン、テイク、トラック名などの情報をファイルの中に保存します。
- マルチトラック — ブームやピンマイクなどマイクごとに別のトラック(ISOトラック)を残し、録音技師が混ぜたミックストラックも録ります。
- ミックストラック — 編集の仮つなぎやデイリー(ラッシュ)に使います。最終的なミックスは仕上げでISOトラックから作り直します。
- トラック名 — 「1 ブーム、2 ピン俳優A、3 ピン俳優B」のようにレコーダーでトラックに名前をつけ、仕上げで混乱しないようにします。
ルームトーンとワイルドトラック
ルームトーン(空気音)は、全員が動かず黙っている間に、その場の背景音だけを30秒から1分ほど録ったものです。編集でセリフを切ったりつないだりするとき、すき間をこれで埋めて、シーンの音が途切れて聞こえないようにします。照明や機材は撮影中と同じ状態にしておき、場所や状況が変わったら録り直します。
- ワイルドのセリフ — 本番中にノイズがかぶったセリフを、カメラなしでその場で録り直します。同じ空間なので、ふつうはアフレコより自然になじみます。
- ワイルドの効果音 — ドアの開け閉め、車のエンジン始動、足音など、その場ならではの音を録ります。仕上げで効果音やフォーリーの参考や素材になります。
- 環境音 — 街、森、オフィスなど、シーン全体の下に流れる背景音を長めに録ります。
録音レポートに書くこと
| 区分 | 書く内容 |
|---|---|
| ヘッダー | 作品名、撮影日次、日付、録音ロール(カードやフォルダの番号)、録音技師、ブームオペレーター |
| 録音設定 | サンプリング周波数とビット深度、タイムコードのフレームレート、トラック構成(各トラックのマイク) |
| テイクごと | ファイル名、シーン、カット、テイク、開始タイムコード、OK・NG・キープ |
| メモ | 飛行機、衣ずれ、クリップ、尻カチンコ、ルームトーンやワイルドトラックを録ったかどうか |
録音レポートは録音ロールごとに1枚書きます。仕上げではこれを見て音のファイルを探し、どのトラックを使うか、どのテイクに問題があるかを前もって把握します。カメラレポートと同じシーン・カット・テイクの表記を使えば、両者をそのまま突き合わせられます。
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