
光の質 — 光源の大きさと距離
光が硬いか柔らかいかは、出力ではなく、被写体から見た光源の大きさで決まります。影の縁には、光源の一部だけが遮られるぼんやりした帯(半影)ができます。光源が大きいほどこの帯が広がり、影は柔らかくなります。
- 1小さな光源 — ぼんやりした帯が狭く、影の輪郭がくっきりします。
- 2大きな光源 — ぼんやりした帯が広がり、影の濃い芯が小さくなります。
- 近づける — 同じソフトボックスでも被写体に近いほど大きく見え、光は柔らかくなります。ただし俳優が少し動くだけで明るさが大きく変わります。
- 遠ざける — 光源が小さく見えて影は硬くなりますが、俳優が前後に動いても明るさの変化は小さくなります。
- 面を大きくする — ディフューザーや、壁・板へのバウンスで、光が出る面を広げます。広く広がる分、被写体に届く光は減ります。
- 硬い光が合う場面 — 真昼の太陽、窓枠の影、緊張感のあるシーンなど、物語にくっきりした影が必要なときです。
色温度 — 3つの方式
撮影用ライトの色の扱いには、主に3つの方式があります。どれが単純に優れているわけではなく、現場でどれだけ色を変えるか、どれだけ出力が必要かで決まります。
| 方式 | 仕組み | 考えること |
|---|---|---|
| 昼光固定 | 昼光の色温度ひとつを出す | 同じ大きさなら明るさと効率で有利なことが多い。暖かい光にはCTOゲルを足し、出力が少し落ちる |
| バイカラー | 暖色と寒色のLEDを混ぜて色温度を調整する | 1台で屋内外に使える。両方の色を混ぜる中間の設定では、同じ大きさの固定型より暗くなりがち |
| RGB系(フルカラー) | 複数色のLEDを混ぜて色温度と色相の両方をつくる | ゲルなしで効果色やグリーン・マゼンタの補正ができる。白色光の質は機種によって違うので、演色性の数値を確認してテストする |
1つのシーンで種類の違うライトを混ぜると、ケルビンの数字が同じでも色が微妙に違って見えることがあります。ライトごとにグリーン寄り・マゼンタ寄り(ティント)の度合いが違うためです。撮影前に白い壁やグレーカードに並べて当て、モニターで見比べておくと、当日の修正が少なくなります。
演色性の指標の読み方
演色性とは、基準の光と比べて、そのライトの下で物がどれだけ自然に見えるかです。数字が高いほど基準に近く、映像用ライトでは90以上が推奨されることが多いです。
| 指標 | 測るもの | 読み方 |
|---|---|---|
| CRI(Ra) | 標準の色見本が、基準の光と比べてどれだけ近く人の目に見えるか | もっとも広く使われるが、濃い赤(R9)は平均に含まれない。肌や唇の色が大事ならR9を別に確認する |
| TLCI | カメラで記録したときに色がどれだけずれないか | カメラでの撮影を前提にした指標なので、現場での参考になる |
| SSI | ライトのスペクトルが基準(タングステンまたは昼光)にどれだけ近いか | 特定のカメラに左右されにくい比較用の指標。違うライトを混ぜるときに役立つ |
フリッカーとシャッタースピード
フリッカーは、ライトの明るさが目に見えない速さで明滅し、それがカメラのシャッターとずれることで、画面のちらつきや横縞として現れる現象です。
- 電源周波数 — 商用電源の周波数は国や地域によって50Hzか60Hzです(日本では東日本が50Hz、西日本が60Hz)。蛍光灯や一部の室内照明など電源に合わせて明滅するライトの下では、その周期に合ったシャッタースピード(50Hzなら1/50か1/100、60Hzなら1/60か1/120)にするとフリッカーが減ります。
- LEDの調光 — ライトによっては、ごく暗く調光するとちらつきます。ライトのメニューで調光モードや周波数の設定を確認します。
- ハイスピード撮影 — フレームレートが高いほどシャッターが速くなり、フリッカーが目立ちます。スローモーションは同じ設定で先にテストします。
- 画面内のモニターや看板 — 縞が消えるまでシャッタースピードを少しずつ調整します。
選ぶ前に確認すること
- 質 — 硬いか柔らかいか、影をどれだけ残したいか
- 色 — 固定の色温度で足りるか、現場で色を変える必要があるか
- 演色性 — 指標とR9、混ぜて使うライト同士の色の差
- 電源 — コンセントかバッテリーか、消費電力
- フリッカー — 使うフレームレートとシャッターでのテスト撮影
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