
三点照明 — キー・フィル・バック
- キーライト — シーンの主な光です。ふつうはカメラの片側に斜め(約30〜45度)に置き、顔に落ちる光と影の向きを決めます。
- フィルライト — キーの反対側から影を和らげます。キーより弱くして、顔の立体感を残します。レフ板で代用することもよくあります。
- バックライト — 被写体の後ろ上方から頭と肩に当て、被写体を背景から切り離します。リムライト、ヘアライトとも呼ばれます。
背景を照らすライトを足すと、被写体と背景を別々にコントロールできます。三点照明は出発点であって、決まった公式ではありません。窓やスタンドなど、画面の中に光の出どころとして自然なもの(モチベーション)があれば、キーの向きをそれに合わせると自然に見えます。
キー対フィル比 — コントラストの強さ
顔のキー側とフィル側の明るさの差をキー対フィル比といいます。露出1段は光の量2倍にあたるので、2:1は1段差、4:1は2段差、8:1は3段差です。
| 比率 | 差 | 印象と例 |
|---|---|---|
| 2:1 | 1段 | 明るく均一 — CM、コメディ、軽いドラマ |
| 4:1 | 2段 | 立体感がはっきり — 一般的なドラマ |
| 8:1以上 | 3段以上 | 強いコントラスト — スリラー、ノワール |
硬い光と柔らかい光
光の質は、被写体に対して光源がどれだけ大きいかで決まります。小さな光源は影の輪郭がくっきりした硬い光に、大きな光源は影がなだらかに消えていく柔らかい光になります。同じライトでも遠ざけるほど相対的に小さくなり、光は硬くなります。
- 硬い光 — 晴れた日の真昼の太陽、むき出しのライト。くっきりした影が緊張感と強い印象をつくります。
- 柔らかい光 — 曇り空、大きな窓、ディフューザーを通した光。肌がなめらかに見え、影が自然になります。
- 柔らかくする方法 — ライトの前にディフューザー(シルクや拡散材)を置くか、壁やレフ板にバウンスさせて光源を大きくします。
- 距離と明るさ — 光は距離の2乗に反比例して弱まるため、ライトを2倍遠ざけると明るさは約4分の1になります(逆2乗の法則)。
色温度とホワイトバランス
光の色は色温度として、ケルビン(K)で表します。数字が低いほどオレンジ寄り、高いほど青寄りです。光源に合わせてカメラのホワイトバランスを設定すると、白が白く写ります。
| 光源 | 色温度 | 色 |
|---|---|---|
| ろうそく、家庭用白熱電球 | タングステンより低い | 赤みのあるオレンジ |
| タングステン(ハロゲン)の撮影用ライト | 約3200K | オレンジ |
| 昼光(真昼の太陽)、HMI | 約5600K | 白に近く、やや青み |
| 曇り、日陰 | 昼光より高い | より青い |
窓からの昼光と室内のタングステン光が同じ画面に入ると、片方は青く、もう片方はオレンジに写ります。ライトの前にカラーフィルター(ゲル)を付けて合わせます。CTBはタングステンを昼光寄りに、CTOは昼光をタングステン寄りに変えます。色温度を調整できるLEDライトなら、さらに簡単です。
自然光を活かす

- 窓 — 大きな窓は優れた柔らかいキーになります。被写体を窓の横に斜めに座らせ、反対側にレフ板を置いて影を埋めます。
- レフ板 — 白は柔らかく、銀は強く、金は暖かく光を返します。屋外の逆光で顔を救ういちばん手軽な方法です。
- 真昼の太陽 — 太陽が真上にあると目の下に影ができます。日陰に移るか、頭上に大きなシルクを張って光を拡散させます。
- ゴールデンアワー — 日の出直後と日没前、太陽が低く、光が暖かく柔らかい時間帯です。
- マジックアワー(ブルーアワー) — 日没直後、空にまだ光が残っている短い時間です。現場ではゴールデンアワーのこともマジックアワーと呼ぶことがあります。
- 動く太陽 — 太陽は止まらないので、同じシーンのカットの間でも光の向きが変わります。日の出・日の入りの時刻と太陽の動きを事前に確認し、撮影順を組み立てます。
夜のシーン — 室内の夜とデイ・フォー・ナイト
- 室内の夜 — 窓が明るいと夜に見えません。窓を遮光し、スタンドや天井灯など画面に映る照明(プラクティカル)をモチベーションにします。
- 屋外の夜 — 街灯や看板などをモチベーションに決め、月明かりを表すなら高い位置から広い範囲を柔らかく照らします。
- デイ・フォー・ナイト — 昼間に撮り、露出を落として青く仕上げて夜に見せる方法です。明るい空を画面に入れず、逆光を使うとより自然になります。
照明の安全
- 場所の電気容量(ブレーカー)を確認し、消費電力の合計が超えないように分けてつなぐ
- 電源タップのたこ足配線は禁止、大きな現場では発電機(電源車)を使い電源担当を決める
- ケーブルは通路を避けて這わせ、横切る所はテープやマットで覆って誰もつまずかないようにする
- スタンドの脚に砂袋(サンドバッグ)を載せ、高い位置のライトには落下防止ワイヤーを付ける
- 水と雨 — 濡れた手でライトを扱わない。屋外ではレインカバーと漏電遮断器を使う
- ライトはとても熱くなるので、手袋をして布や紙から離す
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