
権利処理が必要なもの
| 対象 | 例 | 許諾を取る相手 |
|---|---|---|
| 原作・脚本 | 小説、漫画、実話をもとにした物語 | 著者や出版社、脚本家 |
| 音楽 | 劇中歌、劇伴、ロケ先で流れている曲 | 楽曲の権利者と録音の権利者 |
| 画面に映る著作物 | 絵画、写真、ポスター、ほかの映像、本の表紙 | それぞれの著作物の権利者 |
| 商標・ロゴ | 看板、商品パッケージ、服のロゴ | 商標の権利者(映り方による) |
| 人物 | 出演者、誰だかわかる通行人 | 本人(未成年は親権者・保護者) |
| 場所 | 店舗、住宅、オフィス、公園、道路 | 所有者や管理者、所管する機関 |
こうした対象は、台本分析の段階で拾い出しておくと楽になります。「テレビでニュースが流れている」「彼女が歌を口ずさむ」といったト書き一行も、権利処理の対象です。美術部の飾り込みには、オリジナルか権利処理済みの絵や写真を使います。権利処理には時間がかかるので、撮影の前週ではなく、プリプロダクションの早い段階から始めましょう。
音楽には二つの側面がある
既存の曲を使うには、楽曲そのものの権利と、録音の権利の両方を処理する必要があります。楽曲の権利は作詞家・作曲家、音楽出版社、著作権管理団体が管理していることが多く、録音の権利はたいていレコード会社と実演家にあります。自分たちのミュージシャンで曲を録音し直せば新しい録音の権利は自分たちのものになりますが、楽曲の使用許諾は引き続き必要です。
作曲家にオリジナルの音楽を依頼する場合は、権利が誰に帰属し、どう使えるかを契約書に明記します。音楽ライセンスサービスを使う場合は利用規約を読みましょう。映画、放送、広告など、用途や媒体によって認められる範囲が異なります。ロケ先で流れている音楽は一度録音に入ると取り除くのが難しいので、撮影中は止めてもらうよう頼みます。
人と場所
出演者については、出演契約や出演同意書に映像の使い道を明記します。誰だかわかる形で撮影した通行人やエキストラからは同意書をもらうか、顔が映らない構図にするか、ポストでぼかします。未成年者には親権者・保護者の同意が必要です。
私有地では、撮影の日時、使う範囲、原状回復の条件を所有者や管理者と書面で取り決めます。公園、道路、公共施設などの公共の場所では所管する機関の許可が必要な場合があり、地域のフィルムコミッションが手続きを案内したり手伝ったりしてくれることも多くあります。看板や店名を画面に映してよいかも、あわせて確認しましょう。
台本の中の名前や番号も確認が必要です。実在の会社、学校、団体、実在の人物を否定的に描くと名誉毀損を問われるおそれがあるため、架空の名前を使うのが一般的です。画面に映る電話番号、ナンバープレート、住所、メッセージアプリのIDが実際に使われているものでないかを確かめ、美術部に架空の情報で埋めてもらいます。
権利処理の流れ
- 01対象を書き出す台本分析表と美術・小道具のリストから、音楽、画面に映る著作物、ロゴ、人物、場所を拾い出します。
- 02権利者を探す誰が権利を持っているかを確認します。一つの対象に複数の権利者がいることもあります。
- 03範囲を決めるどの媒体(劇場、放送、オンライン)で、どの地域で、どれくらいの期間、どの用途(本編、予告編、宣伝)に使うかを決めます。
- 04書面でもらう許諾は書面でもらいます。範囲を明記した文書は、一行だけのメールの返信より、後々ずっと力を持ちます。
- 05処理できないものは差し替える許諾が取りにくい、または費用がかかりすぎる場合は、ほかのものに差し替えるか、隠すか、場面からカットします。
- 06権利処理表を残すすべての対象について、権利者、範囲、書類の保管場所を一つの表にまとめます。配給会社や放送局は、納品時に権利関係の書類を求めることがよくあります。
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