
指向特性 — マイクはどの音を聞くか
- 1無指向(オムニ) — すべての方向から均等に拾います。ピンマイクに多いタイプです。
- 2カーディオイド — 前と横を拾い、真後ろが最も鈍くなります。
- 3ハイパーカーディオイド — カーディオイドより前が狭く、後ろに小さな感度の尾があります。
- 4ガンマイク(ショットガン) — 前が最も狭いタイプです。狭さは周波数によって変わるため、この図は概念図です。
指向特性は、マイクが各方向の音をどれだけよく拾うかを示したものです。セリフ録りでは、俳優の口元はよく聞こえ、カメラや照明のノイズや壁から跳ね返る音はあまり聞こえないマイクが望ましいので、ブームには指向性マイクをつけます。指向性マイクは正面から外れるほど音が小さくなり、音色も変わるため、マイクの正面を口に向け続けるのが基本です。
ガンマイクとハイパーカーディオイド
| 項目 | ガンマイク | ハイパーカーディオイド |
|---|---|---|
| 前方の拾い方 | 最も狭い | ガンマイクより広い |
| 向いている場面 | 屋外、広い室内、距離をとらなければならないとき | 天井の低い室内や響きの多い室内 |
| 弱点 | 狭い部屋では反射音が入り込み、音色がこもりやすい | 屋外では遠くのノイズを抑える力がガンマイクより弱い |
| 長さ | 長いので狭い場所では扱いにくい | 短いので天井の低い場所でも扱いやすい |
同時録音用のマイクの多くはコンデンサーマイクなので、レコーダーやミキサーからのファンタム電源(48V)がないと動きません。音が出ないときは、ケーブルを疑う前にファンタム電源の設定を確認します。1本しか持てないなら屋外と室内のどちらが多いかで決め、両方あるならロケーションに合わせて使い分けます。
ピンマイクとワイヤレス
- ピンマイク — 指先ほどの大きさのマイクで、衣装の下、胸の中央あたりに隠します。口との距離が一定に保たれるので、引きの画や歩きながらのセリフに強いのが特長です。
- 衣ずれ — 最もよくある問題です。生地が動かないようにマイクの周りをテープで固定し、どの衣装のどこにつけるかを衣装部と事前に決めておきます。
- 送信機 — ピンマイクの信号を電波で送る小さなパックです。腰の後ろや太ももなど、画面に映らず動きを妨げない場所につけます。
- 受信機 — 電波を受けてレコーダーに入力します。対になる送信機と同じチャンネル(周波数)に合わせる必要があります。
- 周波数 — 使えるワイヤレスの帯域は国ごとに定められているので、撮影地の監督官庁で確認します。日本でも帯域によって免許などの扱いが異なります。現場のほかのワイヤレス機器とぶつからないチャンネルを事前に選んでおきます。
- 電池 — 送信機は小さく、電池の減りが早い機器です。交換した時刻を記録し、食事休憩などのタイミングで早めに替えます。
シーン別の選び方
| シーン | 最初に選ぶもの | あわせて用意 |
|---|---|---|
| 室内のセリフ、天井が低い | ブーム+ハイパーカーディオイド | 予備のピンマイク、スポンジの風防 |
| 屋外のセリフ | ブーム+ガンマイク | カゴ型の風防、ウインドジャマー |
| 引きの画、遠くを歩く | ピンマイク+ワイヤレス | できるだけ近づけたブーム |
| 車内 | ピンマイクと、車内に隠す小型マイク | エンジン音や風切り音を抑える工夫 |
| インタビュー | ピンマイクとブームを併用 | マイクが映ってもよいか事前に決める |
機材を選ぶときは、一番良いマイク1本よりも、ブームが失敗してもほかのマイクがセリフを拾っている構成を考えます。セリフさえ生きていれば、ほかの問題は仕上げで直せることも多いのですが、セリフがだめになるとアフレコ(ADR)で録り直すことになり、時間も費用もかかります。
風対策 — スポンジ、カゴ型風防、ウインドジャマー
- スポンジの風防 — マイクにかぶせるスポンジです。室内の弱い空気の流れや、ブームを動かしたときの風切り音を抑えます。
- カゴ型の風防 — 中空の筒の中にマイクを吊るし、風が直接当たらないようにします。屋外では標準の装備です。
- ウインドジャマー — カゴ型の風防にかぶせる毛足の長いカバーです。風の強い日、カゴだけでは防げないノイズを抑えます。
- ピンマイク用 — 小さな毛のカバーやスポンジを使います。衣装の下に隠すと、衣装そのものが風よけになることもあります。
風切り音は大きく低い「ボコボコ」という音で、仕上げできれいに消すのは困難です。レコーダーのローカットも役に立ちますが、風対策の代わりにはなりません。屋外に出る前に、風防を替えながらヘッドホンで聞き比べて、効果のあるものを選びます。
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