
服で登場人物をデザインする
衣装デザインは、「この人はこの服をどこで買い、どのくらい着てきたのか」という問いから始まります。同じ会社員でも、新人と長年の役員とでは、服の質も体への合い方も違います。物語の中で登場人物が変わっていくなら、服の色や形を少しずつ変えてそれを見せることもできます。
- 役ごとのコンセプト — 登場人物ごとに参考画像・色・生地・シルエットを集めます。美術部のカラーパレットと合わせ、背景に埋もれないようにします。
- カメラで困る服 — ごく細いストライプや細かいチェックは、画面がちらつくモアレが出やすくなります。真っ白や真っ黒な服は露出が難しいので、先に撮影監督と確認します。
- ブランド — 目立つロゴは権利処理の問題になりうるので、隠すか避けます。
- 音 — こすれる音がする生地やジャラジャラ鳴るアクセサリーは、同時録音の邪魔になります。ピンマイクを隠す場所を録音部と相談します。
衣装合わせ
衣装合わせは、俳優が衣装を着てサイズ・色・動きを確かめる場です。立った姿だけでなく、座る、走る、腕を上げるといった動きもしてもらいます。アクションシーンでは、下にパッドを入れる余裕があるかも確認します。正面・横・後ろから写真を撮って監督の承認をもらい、お直しはその場で印をつけます。
- 衣装合わせの前 — 俳優のサイズを聞き、選ぶ余地があるよう役ごとに候補を多めに用意します。
- 衣装合わせの後 — 決まった衣装に番号を振り、お直しとまだ用意できていない物をまとめます。
- 現場 — 衣装部はモニターで服の見え方を見て、テイクの合間に襟やしわを直します。
衣装替え表
- 1劇中日 — 同じ日の中では、ふつう同じ衣装が続きます。
- 2衣装替えの所 — 日が変わる所、または物語の中で着替える所です。
- 3疑問符 — シーンには出るが、衣装がまだ決まっていない状態です。
衣装替え表は、横にシーン、縦に役を並べ、各欄にその登場人物がそのシーンで着る衣装番号を書いた表です。シーンを台本順に並べて劇中日を書き添えると、同じ日の中で衣装が続いているかが一目でわかります。撮影日には撮影順に並べ替え、その日に俳優ごとに何回着替えがあり、どれだけ時間が要るかをチーフ助監督に伝えます。
ダブル・エイジング・つながり
- ダブル — 一つの衣装を何着か同じように用意したものです。濡れる、血がつく、破れるシーンや、スタンドインやスタントマンが同じ衣装を着るときに必要です。
- エイジング — 新しい服を洗ったり、こすったり、染めたりして、長く着てきたように見せることです。ダブルにもまったく同じエイジングをしないと、入れ替えたときにばれます。
- 汚し — 汚れ・汗・しみをつけて、そのシーンで登場人物が経てきたことを見せます。傷み具合は物語の順に段階を決めておきます。
- つながり写真 — シーンの終わりに俳優を正面・横・後ろから撮り、袖のまくり方やボタンをいくつ外しているかといった細部もメモします。
レンタルと返却
- 届いたとき — 品目・数量と、しみや傷などの最初の状態を写真で記録します。
- 手を加える前 — 詰める・染める・エイジングするなどしてよいか、レンタル先と取り決めます。
- 撮影中 — 借りた衣装にはラベルを付け、購入した物とは分けて保管します。
- 返却のとき — クリーニングや修理が要るかを確かめ、期限までにすべて返します。
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