8부 同時録音 · 第3講 · 読了 7分

録音機材のセッティング・電源・ワイヤレス — 録音バッグ、ゲインステージング、トラック構成、電池

ゲインは入口で一度だけ、ワイヤレスは本番前に整えます

録音機材のセッティングで大切なのは、信号の経路をシンプルに保つことです。マイクの信号は入力ゲイン、ローカットとリミッター、フェーダー、録音トラックの順に流れ、レベルは最初の入力ゲインで一度だけ正しく決めるのがゲインステージングの基本です。ブームとピンマイクはそれぞれ別のISOトラックに、録音技師が混ぜた音はミックストラックに録ります。ワイヤレスは撮影前に周波数をスキャンして空いているチャンネルを探し、送信機ごとに名前をつけます。電池は交換時刻を記録して早めに替え、カメラには参考用の音を送り、録音中はずっとヘッドホンで聞き続けます。

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講義の目次第8部 第3講 · 39/49
  1. 1부 制作の流れ3講
    1. 1制作の流れ
    2. 2撮影前チェックリスト
    3. 3日々スケジュールの作り方・読み方
  2. 2부 制作実務3講
    1. 1制作予算と精算
    2. 2協賛とプロダクトプレイスメント
    3. 3権利処理(クリアランス)
  3. 3부 制作部の現場運営6講
    1. 1制作部の仕事
    2. 2ロケーションと撮影許可
    3. 3移動・食事・宿泊
    4. 4キャストとエキストラ
    5. 5現場の進行
    6. 6仮払いと領収書
  4. 4부 演出部の実務6講
    1. 1演出部の構成と1日
    2. 2台本分析と演出準備
    3. 3撮影順の組み方
    4. 4リハーサルと段取り
    5. 5現場の掛け声とセットアップ順
    6. 6記録(スクリプター)とつながり
  5. 5부 撮影7講
    1. 1ショットサイズ・アングル・構図
    2. 2露出の決め方
    3. 3レンズの選び方
    4. 4フォーマットとフレームレート
    5. 5カメラを動かす機材
    6. 6撮影部の役割と1日
    7. 7モニタリングとデータ
  6. 6부 照明・特機6講
    1. 1照明の基本
    2. 2光の選び方
    3. 3照明機材
    4. 4スタンドと固定
    5. 5光を整える
    6. 6安全とセッティングの順序
  7. 7부 美術・衣装・メイク5講
    1. 1美術部と美術デザイン
    2. 2セットとロケセットの飾り込み
    3. 3小道具とつながり
    4. 4衣装
    5. 5ヘアメイクと特殊メイクの基本
  8. 8부 同時録音5講
    1. 1マイクの選び方
    2. 2ブーム操作
    3. 3機材セッティング・電源・ワイヤレス
    4. 4ロケーション録音
    5. 5シンク・タイムコード・録音レポート
  9. 9부 ポストプロダクション4講
    1. 1編集ワークフロー
    2. 2カラーグレーディング
    3. 3音の仕上げ
    4. 4納品仕様
  10. 10부 配給・流通3講
    1. 1劇場・配信・放送の配給
    2. 2映画祭への出品準備
    3. 3セールス・権利・宣伝資料
  11. 付録1講
    1. ·韓国の撮影現場の言葉
レコーダーとミキサー、アンテナを立てた4台のワイヤレス受信機、ヘッドホンと仕切りに入ったバッテリーを載せた録音カートのイラスト。奥にブームオペレーターとカメラ
AI 生成イラスト

録音バッグの組み方

同時録音の機材は、ふつう録音技師が身につける1つのバッグにまとめます。ブームオペレーターと一緒に動く必要があるので、軽く、ケーブルが絡まず、片手で扱えるように組みます。

  • レコーダーとミキサー — 複数のマイクを受け、それぞれを別のトラックに録りながら混ぜます。一体型の機器を使う場合も、別々の機器を使う場合もあります。
  • ワイヤレス受信機 — バッグの横か前につけ、アンテナは何にも遮られないようバッグより上に出します。
  • 電源 — 大きなバッテリー1つからレコーダーと受信機に電源を分配すると、電池交換の回数が減ります。
  • ヘッドホンと連絡 — 録音技師のヘッドホン、ブームオペレーターに音を送る返し、演出部と話すトランシーバーを用意します。
  • 予備 — 短いケーブル、記録メディア、電池、ピンマイク固定用のテープは、すぐ取り出せるバッグのポケットに入れておきます。

ゲインステージング — 入口で一度だけ

ゲインステージング — 上:マイク、入力ゲイン、ローカット・リミッター、フェーダー、ミックストラックの順に信号が流れ、ローカット・リミッターとフェーダーの間でマイクごとのISOトラックが分かれる(機器の設定によってはフェーダーの後で分かれることもある)。レベルは入力ゲインで決める。下:レベルメーターを左から小さすぎ、普段のセリフ、ヘッドルーム、0dBFSを超えるクリップの帯に分けた概念図① 信号の流れ — ゲインは入口でマイク小さな信号入力ゲインここで決めるローカット+リミッターフェーダー混ぜる比率ミックス混ぜた音ISOトラックマイクごとに別々に記録フェーダーの前で分かれるとフェーダーを下げても録音されます(位置は機器の設定で異なります)② レベルメーター — どのあたりで録るか0dBFS小さすぎ上げるとノイズも大きく普段のセリフ十分な大きさでヘッドルーム叫び・笑いの余裕0dBFSを超えると歪んで元に戻せませんリハーサルで一番大きなセリフを聞いて入力ゲインを決めます。帯の幅は概念図です — 基準値はレコーダーとポスプロ側で決めます
マイクから録音トラックまでの経路と、レベルメーターの帯です。ゲインは入口で決め、フェーダーはミックスに使います。
  1. 1入力ゲイン — マイクの小さな信号を、録音に適した大きさまで持ち上げます。レベルはここで決めます。
  2. 2ローカットとリミッター — 低いゴロゴロ音を削り、突然の大きな音を抑えます。位置は機器によって異なります。
  3. 3ISOトラック — フェーダーの前で分かれていれば、フェーダーを下げても録音されます。プリかポストかは機器で確認します。
  4. 4レベルメーター — 小さすぎるとノイズも一緒に大きくなり、0dBFSを超えると歪んで元に戻せません。

ゲインステージングとは、信号が通るすべての段階で適切なレベルを保つことです。入口で小さく録ると、あとでどれだけ持ち上げても背景のノイズが上がり、大きく録りすぎると、あとで下げても歪みは残ります。そこでリハーサルで一番大きなセリフを聞きながら入力ゲインを決め、本番中はフェーダーでマイク同士のバランスをとります。

トラック構成

一般的なトラック構成
トラック録るものメモ
ミックス録音技師が混ぜた音編集の仮つなぎ、デイリー、カメラへの参考音に使う
ブームブームマイクブーム2本なら2トラック
ピンマイク俳優ごとに1トラックトラック名に役名を入れる

トラックの順番は作品を通して変えないのが理想です。出演者が変わっても「ブームは常に同じ番号」のようなルールを決めておけば、仕上げで混乱せず、録音レポートのトラック欄も短くなります。

ワイヤレスの運用

  1. 01現場でスキャンする受信機のスキャン機能で、その場ですでに使われている周波数を調べ、空いているチャンネルを探します。場所を移ったらスキャンし直します。
  2. 02チャンネルグループから選ぶ複数の送信機を同時に使うと、周波数同士が混ざって新たな混信が生まれることがあります。メーカーが同時に使えるよう組んだチャンネルグループから選ぶほうが安全です。
  3. 03すべてに名前をつける送信機、受信機、トラックに同じ役名をつけ、チャンネルを表に書いておきます。2台の送信機を同じチャンネルにしてはいけません。
  4. 04歩いてテストする送信機を俳優の動きの一番遠い地点や壁の向こうまで持って行き、音が途切れないか聞きます。

使えるワイヤレスの帯域は国ごとに定められているので、撮影地で認められた機器と帯域を使い、現地の監督官庁で確認します。日本でも帯域によって免許などの扱いが異なります。送信機のアンテナを折り曲げたり体に密着させたりすると電波が弱くなるのでまっすぐにつけ、受信機のアンテナは金属やほかの送信機から離します。

電池と電源

  • 充電済みの電池と使用済みの電池は、はっきり表示した別々の容器に分けます。
  • 送信機の電池を替えた時刻を書き、食事休憩や場所移動などのタイミングで早めに替えます。
  • 機器の設定で電池の種類を合わせ、残量表示が正しく出るようにします。
  • 撮影前に、レコーダーのメイン電源を途切れずに交換できるか確認します。
  • 1日の終わりにはすべての電池を充電器にかけ、なくなったものがないか数えます。

カメラへの参考音とヘッドホン

レコーダーのミックスをケーブルかワイヤレスでカメラに送っておくと、編集ではレコーダーのファイルをシンクする前から音つきで素材を見られ、シンクの確認にも役立ちます。レコーダーの出力とカメラの入力でレベルの種類(マイクかラインか)が合っていないと、音が歪んだり小さすぎたりするので、最初のテイクの前にカメラ側のレベルも一緒に確認します。

  • 音量を固定する — ヘッドホンの音量を同じ設定に保つと、耳で大小を判断する基準ができます。
  • 1本ずつ聞く — ブームとピンマイクをソロで聞き、衣ずれや音切れを探します。混ぜると到達時間の差で音が細くなることがあるので、一緒にも聞きます。
  • ブームオペレーターにも — ブームオペレーターは自分のマイクの音を聞いてこそ、向きを自分で直せます。
  • 耳を守る — 大きな音で長く聞くと耳が疲れ、判断が鈍ります。必要なだけ上げます。

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